ハンブルグで私の母がまずしたことは
14歳の私にバイオリンの先生を探すことでした。
ハンブルグ州立歌劇場(オペラハウス)
のオーケストラで弾いている日本人の先生に
習うことになりました。
路面電車に乗って先生のお宅まで一人で通うのですが、
今でもよく覚えていることがあります。
いつものように座席に座っていると
一人のおばあさんが私に向かって
強い口調で何か言ってきたのです。
ドイツ語はまったく理解できないので
唖然としていると
おばあさんは私の腕をグイッとつかんで
立たせると、さっと自分が座りました。
子どもは座ってはいけなかったのです。
老人を立たせて座っているとは!
おばあさんは怒り心頭のようでした。
当時のドイツの電車は
子ども、動物、自転車専用の車両があって
布製の座席のある普通車両と違って
木製のベンチがあるだけ。
子どもと大人は明確に分けられていました。
その点日本は子どもにとても寛大です。
私も
ぐずる子どもを連れていると
子育て大先輩のおば樣方があやしてくれたり
「暑いんじゃないかしら?」
「眠いのね」
と話しかけてくれたことを覚えています。
私も今やその大先輩のおば様の立場です。
子どもが泣いていると
子育て中を思い出して
つい声をかけたくなる気持ち
わかります。
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