ずっと前
あるちょっと不思議なおばさまに
こんなことを言われたことがあります。
「今後あなたがバイオリンを弾く時
まだ誰もいないコンサートホールに
隅々まで赤い絨毯をバァーっと広げるイメージをしてね。
そこにお客様がいらしてあなたが演奏すると彼らの喜び、悲しみ、苦しみ、怒りが涙となって
その絨毯の上にビー玉のように転げ落ちて行きます。
演奏が終わりお客様が帰られた誰もいないホール
あなたはその赤い絨毯をビー玉ごとくるくると包み
持って帰ります。
持ち帰ったビー玉は
喜びも悲しみも美しい宝石に変わり
あなたの宝物となります。
そして演奏の度にその宝物を集めるため
あなたはまたその赤い絨毯を広げるのです。」
まだ人前で弾くことなどなかった頃だったので
「コンサートホール?そんなところで弾くことないし」
「お客さんの前で?そんな上手くないもの・・・」
その時はピンと来ませんでした。
でも最近何度も思い出すおばさまのこの言葉
「お客様から宝物を集める喜び」
これこそ私が演奏する理由なのかもしれません。
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